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作家名索引
ウジューヌ・カリエール / Eugène Carrière [ グールネイ , 1849年 - パリ, 1906年 ]
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典型的中産階級の家庭に生まれ、幼年期、青年期をアルザス地方第一の都市ストラスブールで送った。普仏戦争に従軍して捕われ、ドレスデンで虜囚生活を経験。帰国後、パリのエコール・デ・ボザールに入学、第二帝政時代におけるアカデミーの代表的作家の一人カバネルのアトリエに籍を置く一方、版画の分野で活躍していたジュール・シェレからはリトグラフを学んでいる。1876年から77年にかけてイギリスに滞在し、ターナーの作品に感動する。フランスに帰国の後はサロンに出品し、次第に支持者を獲得していった。その作風は、初期には自然主義風の描写であったが、1880年代には、ほとんど単色に近い朦朧とした闇の中からスフマート(ぼかし技法)で描かれたメランコリックな相貌の人物が浮かび上がる、というような神秘的な表現に変わっていった。その作品の多くは、「母性」「病める子供」といった、文学的ともいえる主題を扱っている。交友関係も、画家よりはむしろ、ドーデ、マラルメ、アナトール・フランス、エドモン・ド・ゴングールなどの文学者たちと親しく、なかでも生きとし生ける者への愛を謳いあげた「呪われた詩人」、象徴派のヴェルレーヌとの交わりは特筆されるべきものである。またカリエールは社会主義者であり、フランスの世論を二分したドレフュス事件に際しては、ドレフュス援護の論陣を張った。
1890年、ロダンやピュヴィ・ド・シャヴァンヌ、コッテらと共にソシエテ・ナシオナル・デ・ボザールを発足させたのち、サロン・ド・ラール・ヌーヴォーやサロン・ドートンヌなどにも参加した。また、セーヌ左岸のレンヌ街に開いた彼の画塾には、マティス、ドラン、ラプラードなどが学んでいる。
(出典:国立西洋美術館名作選. 東京, 国立西洋美術館, 2006., p. 159)
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