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作家名索引
ピエール・ボナール / Pierre Bonnard [ フォントゥネー゠オー゠ローズ , 1867年 - ル・カネ, 1947年 ]
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パリ近郊に生まれ、大学で法律を学ぶかたわらアカデミー・ジュリアンで絵を学び、その後エコール・デ・ボザールに1年通う。1890年、ヴュイヤール、ドニと共に共同のアトリエを構え、ナビ派として出発し、アンデパンダン展やサロン・ドートンヌに出品する。初期の様式は、彼が崇拝していたゴーガンや友人のセリュジエの影響を受けて、明るい色面と規則的な筆のタッチを特徴としていた。また、1891年から94年にかけて、当時最も先鋭的な文芸雑誌の一つであった『ルヴュ・ブランシュ』誌のためにパリの風物を題材にリトグラフによるポスターを作成したほか、画商ヴォラールの援助のもとリトグラフ集を発表するなど、平面性と装飾性を重視した作品に腕をふるった。しかし、彼の画風は1890年代末から次第に変貌して行く。ナビ派の造形感覚に、以前からあった印象主義への愛着、そしてフォーヴィスムの鮮やかな色彩感が加わって、日常の情景を題材に私的な世界に固執して行き、ヴュイヤールとともに「アンティミスト(親密派)」と呼ばれるようになる。1910年に南仏を旅行してその美しさに魅了され、以後、サン=トロペ、グラッス、アンティーブなどにしばしば長期滞在して、光に満ち溢れる作品を描き続けた。構図も歳を経るに従って自由で大胆なものへと発展し、最晩年には輝く光と色彩の中に溶け込んで行った。ボナールの作品には際立った前衛性こそ欠けているものの、調和と優美さというフランスの良き伝統が新たな形で体現されているのをみることができる。
(出典:国立西洋美術館名作選. 東京, 国立西洋美術館, 2006., p.171)
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