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作家名索引
ポール・シニャック / Paul Signac [ パリ , 1863年 - パリ, 1935年 ]
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極めて豊かなパリの商家に生まれる。幼<して父を失ったシニャックは、建築家になることを勧める母の意に反して画家の道を選んだ。最初は、1890年に『現代生活』誌の画廊で見たモネの作品の影響下に、独学で印象派風の風景画を描いた。1884年、いわゆるアンデパンダン(独立美術家協会)の創設に参加、スーラに出会う。文学、芸術などあらゆるものごとに熱狂的な関心を持った彼は、色彩理論の研究にも熱中し、1886年スーラとともに第八回印象派展において、光の効果を科学的に色彩に還元する新しい手法「分割技法」で描かれた作品を発表、新印象主義の創始者となった。この運動は、ピサロ、ファン・ゴッホ、マクシミリアン・リュス、アンリ=エドモン・クロス、あるいはベルギーの「二十人展」の人々など、またたく間に同調者を獲得、シニャックは、グループをまとめる上で中心的存在となる。とくに1891年スーラの夭折後は、この運動の指導者として、グループの先頭に立って闘った01890年代の終わり頃より、シニャックの作風は、新印象主義の厳格な理論から少しずつ解放されて行き、より自由で闊達な作風に変化していった。海や水辺を愛した彼は、オランダからコルシカに至る航海など、たえず旅行をつづけ、地中海に面したサン=トロペなどを根拠地として、多くの海港風景を油彩、水彩で描いた。また、若い世代の画家たちにも親しく接したシニャックは、1903年にはアンデパンダンの副会長に、更に1909年には会長となり、世に出たばかりのフォーヴィスムやキュビスムの画家たちを会員として迎えている。彼の著作も多く、とりわけ『ドラクロワから新印象主義まで』(1889年)は、新印象主義の理論家としての、彼の代表作である。
(出典:国立西洋美術館名作選. 東京, 国立西洋美術館, 2006., pp. 162-163)
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