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ダンテ・ガブリエル・ロセッティ / Dante Gabriel Rossetti [ ロンドン , 1828年 - バーチントン=オン=シー, 1882年 ]
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ホルマン・ハント、ジョン・エヴァリット・ミレイとならぶ「ラファエル前派」の中心的人物。イタリア人政治亡命者を父に、芸術を愛する家庭環境に育ったロセッティは、早くから詩と絵画に才能を示した。1844年にロイヤル・アカデミー美術学校に入ってハントやミレイに出会ったが、アカデミーの教育とヴィクトリア時代の因襲的傾向に反発した彼らは、ラファエッロ以前、すなわち初期イタリア・ルネッサンス美術の虚飾のない優雅さ明澄な色彩の復活、精緻な自然観察などを主張して、1848年、同志とはかって「ラファエル前派同盟」を結成した。ロセッティは技巧とデッサン力においてハント、ミレイに及ばなかったが、魅力ある個性と優れた詩的才能によって、この運動の強力な推進役となり、1850年に発行された同派の機関誌『芽生え』の編集を担当した。
「同盟」は結成後数年にして活動力を低下させ、各メンバーは独自の道を歩むことになる。《聖母の少女時代》(1849年、テイト・ギャラリー)で不評を買ったロセッティは、しばらく水彩に専念していたが、1856年,バーン=ジョーンズとウィリアム・モリスという信奉者を得たのちは、彼らの影響の下、マロリーの『アーサー王の死』など中世の騎士道文学やキーツ、テニスンらの詩を題材に活発な制作活動を展開した。しかし、ロセッティの関心は、女性の肖像を単なる肖像にとどめず、文学的とも言える作品自体の主題にいかに結びつけるかという点にあり、彼の描いた夢見るような妖麗な婦人像は一部の人々のあいだでは熱烈な支持を得た。華やかな女性関係、特に親友モリスの妻ジェインとの不倫は彼の神経に障害をもたらし、1872年には自殺をはかるなど、晩年は孤独な生活を送った。
(出典:国立西洋美術館名作選. 東京, 国立西洋美術館, 2006., p. 177)
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