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作家名索引
ユベール・ロベール / Hubert Robert [ パリ , 1733年 - パリ, 1808年 ]
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フランスの画家。パリの生まれ。1754年、ヴァティカン大使に任ぜられたショワズール公についてローマに行き、フランス・アカデミーに出入りを許された。ここでフラゴナールやアペ・ド・サン=ノンの知遇を得、彼らと共にナポリその他に旅行し、風景デッサンを多数残した。当時廃墟を描いて人気のあったパンニーニや版画家ピラネージの影響下、ロベールはローマの廃墟や庭園、噴水などを、風俗画的な人物描写を加えて描き始め、その後の様式の基礎を築いた。1765年パリに帰ったロベールは翌年アカデミー入りし、また各地にゴシック風の人工の廃墟や中国風の多層塔などを設計したりしたが、これらは当時のいわゆる「イギリス式庭園」に見られるロマンティックな趣味を反映したものでもあった。1792年、王党派の嫌疑をかけられたロベールはサント=ペラジーに幽閉されたがまもなく釈放された。獄中で詩人ルーシェの肖像のほか牢獄のスケッチを行なった(国立西洋美術館には彼の描いた牢獄風景の皿絵がある)。出獄後のロベールにはかつての制作意欲はなく1808年にパリで歿した。ロベールはジョゼフ・ヴェルネ(1714-80)と共にロココから新古典主義への過渡的な時代にあって、自然や古代の遺跡に対する当時の一般的な好尚に投じ非常な人気を博した。建築的なモティーフを考古学的な正確さと自由なファンタジーを交えて描き、これに牧歌的、風俗的な効果を加味した彼の芸術は、その巧妙な澱みのない筆致と生彩に富む色調と相まって、18世紀後半のフランス絵画に異彩を放っている。
(出典:国立西洋美術館名作選. 東京, 国立西洋美術館, 2006., p. 178)
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