ピエール=アルベール・マルケ / Pierre-Albert Marquet [ ボルドー , 1875年 - パリ, 1947年 ]

≫ 作家について

1890年にパリに出て、初め装飾美術学校、次いでエコール・デ・ボザールに学ぶ。後者ではコルモンに師事したが、1897年にギュスターヴ・モローの教室に移り、ここでマティス、ルオーと親交を結ぶ。特にマティスとは生涯の友となった。モローは弟子たちに一定の方法を押しつけることはなく、むしろ個々の長所や才能を引き出すことを意図したため、彼の教室からは、今世紀前半を代表する何人かの優れた画家たちが育った。マルケは1890年代末にはマティスと共に前フォーヴともいうべき様式を開始し、1905年のアンデパンダン展におけるいわゆる「フォーヴ」の中心的存在となった。しかし、彼の関心の中心は、他のフォーヴの画家たちのように色彩の自律性や強い表現性よりも、対象や情景のニュアンスの表現にあり、その傾向は次第に明確になっていく。1910年頃までは裸婦や肖像が中心であったが、その後は風景に転じ、特に河岸や港の光景を極めて高い視点から描くことを好んだ。オンフルール、ナポリ、アルジェリア、ストックホルムと、旅をして水辺の風景を求めたが、彼の作品には、特定の季節、気象状況、時間下の雰囲気が常に漂っている。
（出典:国立西洋美術館名作選. 東京, 国立西洋美術館, 2006., p.172)