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クロード・ロラン / Claude Lorrain [ シャマーニュ , 1604/05年 - ローマ, 1682年 ]
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クロード・ロランはプッサン(1594-1665)と並んで17世紀のフランスが生んだ代表的な画家で、風景画の領域において西洋絵画史に多大の影響を及ぼした。本名はクロード・ジュレであるが、ロレーヌ地方出身のため一般にクロード・ロランと呼ばれている。農民の息子として生まれ、12歳で両親を失うと木版画家の兄を頼ってフライブルクに行き、翌年ローマに移った。ここでクロードは風景画家アゴスティーノ・タッシのもとに弟子入りし、絵の手ほどきを受けたと伝えられる。1625年、ヴェネツィア、ティロル、バイエルンを経て帰国し、クロード・デュリュエの助手としてナンシーで天井画の装飾に携わったが、1627年再びローマに行き、その後は一度も帰国することなく、ここを終生の地とした。
初期のクロードはイタリアのドメニキーノ、カラッチ、ドイツのエルスハイマーなどの影響を受けたが、こうした影響は次第にクロード独自の情調豊かな画風に吸収されていった。クロードの風景には聖書や神話の人物がしばしば登場しているが、しかしプッサンと異なり、彼はこうした主題そのものには特に関心を示さず、人物の占める比重は小さい。彼の関心はむしろ空気遠近法的な効果に富む風景描写にあり、特に朝夕の黄金色の太陽をバックにした港湾風景には定評がある。またそこにはしばしば古代風の建築モティーフが描き込まれ、高雅な古典的雰囲気をかもし出している。
クロードとプッサンとは同じ時代にローマにあって面識もあったが、クロードの芸術はプッサンの優れて英雄的、かつ古典的なそれに較べ、光と大気の微妙なニュアンスをよく捉え、詩的、牧歌的な情趣に富んでおり、ターナー、コンスタブルを始めとする近代の風景画に与えた影響も大きい。
(出典:国立西洋美術館名作選. 東京, 国立西洋美術館, 2006., p. 178)
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