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作家名索引
ポール・ゴーガン / Paul Gauguin [ パリ , 1848年 - ヒヴァ・オア島、マルキーズ諸島, 1903年 ]
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パリに生まれ、南米のリマで幼少時代を過ごす。早くに父を失い、海員生活を送ったのち、1871年、パリの両替商に勤めた。1870年代半ばから余技としての画業に次第に力を注ぐようになり、1876年にはサロンに初入選。ピサロの知遇を得て、1879年には第四回印象派展に参加した。1883年、画業に専念すべく職を辞し、以後は妻子とも別居状態になる。1886年、ブルターニュのポンタヴェンに滞在し、都会にはない純粋素朴な生活に触れる。その体験によって彼は、翌1887年、更に根源的な生活を求めて西インド諸島のマルティニック島へと旅行した。同年末に帰国し、再びポンタヴェンに滞在。1888年末にはアルルのゴッホのもとへ赴いたが、彼らの共同生活は長続きしなかった。1889年から90年にかけては更にポンタヴェン、ル・プールデュで制作して総合主義とクロワゾニスムを確立し、いわゆる「ポンタヴェン派」の中心的存在となった。以後は、1891-93年のタヒチ滞在、1895年から死に至るまでのタヒチ、ドミニク島(現ヒヴァ・オア島)滞在を通じて、ブルターニュで確立した様式を展開させつつ、原始的な生命力や人間存在の本質を鮮やかな色彩で描き続けた。
セザンヌやゴッホと並んで、彼は後期印象派の代表者の一人とされる。視覚のレアリスムを徹底して追求した印象主義が一応の帰結をみた1880年代後半から1890年代にかけ、印象主義を出発点としつつ、それとは異なる問題意識を持った芸術家たちが登場した。彼らに共通するのは、絵画は現実の視覚的映像の再現ではなく、積極的な造形の場であるという新しい意識であったが、その中でゴーガンはとりわけ、空間のイリュージョンという従来の絵画観を否定し、絵画の平面性を強調した。絵画はあくまで平面的な物であるという彼の主張と実践は、20世紀絵画の発展にとって大きな役割を果たした。彼は彫刻作品にも優れたものを残し、また木版画のもつ表現力の再発見者としても重要である。
(出典:国立西洋美術館名作選. 東京, 国立西洋美術館, 2009., p. 162)
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