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アンリ・ファンタン=ラトゥール / Henri Fantin-Latour [ グルノーブル , 1836年 - ビュレ, 1904年 ]
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グルノーブルに生まれ、パリに育った。画家であった父から、絵画の最初の手ほどきを受けたのち、1851年にルコック・ド・ボワボードランの画塾に入った。ルーヴル美術館に通って、ヴェネツィア派の巨匠たちや、ヴァン・ダイク、ワトーなどに感銘を受けたのもこの頃である。1861年にサロン初入選。1863年には、いわゆる「落選展」に参加したが、以後、毎回サロンに出品を続けた。その作品は、肖像画や静物画においては、17世紀オランダの画家たち、クールベら1850年代のフランスにおけるレアリスムの流れを受け継ぎ、黒や灰色など、渋い色彩が生み出すハーモニーを基調とした写実的な作風を見せている。他方、主にベルリオーズやワグナー、ブラームス、シューマンなどの音楽に想を得た一群の作品、とりわけリトグラフにおいては、ロマン主義的、象徴主義的雰囲気を濃密に漂わせている。また、代表作に数えられる集団肖像画《ドラクロワ礼讃》、《バティニョール街のアトリエ》、《テーブルの片隅》、《ピアノを囲んで》(以上すべてオルセー美術館)の諸作にみられるように、ファンタン=ラトゥールは、写実主義や印象主義、象徴主義を奉ずる同時代の尖鋭な画家、文人、音楽家と広く交遊関係を持っていた。ホイッスラーやラファエル前派のロセッティなどとも親しく、幾度も英国を訪問している。世紀末を代表する文芸雑誌の一つ『ワーグナー評論』のために挿絵を描いた他、ブリュツセルの「二十人展(レ・ヴァン)」や「自由美学展」にも作品を送っている。
(出典:国立西洋美術館名作選. 東京, 国立西洋美術館, 2009., p. 169)
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