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作家名索引
マックス・エルンスト / Max Ernst [ ブリュール , 1891年 - パリ, 1976年 ]
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ケルンに近いブリュールに生まれ、ボン大学で哲学を専攻する。絵画は独学だが創造的才能に恵まれ、今世紀の最も重要な芸術運動であるダダやシュルレアリスムにおいて、中心的役割を果たした。1913年、ベルリンの第一回「へルプスト・サロン」に出品し、翌14年にパリでアルプと出会う。1919年、バールゲルトと共にケルン・ダダを結成、アルプもこれに加わる。1920年に彼がそこで開いた展覧会は、官憲の手で閉鎖されるが、この頃から運動は急速に衰え、アルプはチューリッヒに戻り、1922年エルンストはパリに移る。パリではブルトン、エリュアール、ツァラらの前衛文学者らと接触し、夢や幻想の神秘と不気味さに満ちた世界を創造することに意欲を燃やす。ダダの反芸術的傾向から脱却して次第に本格的な絵画の制作に向かったが、フロッタージュ(岩や木の粗い面に紙をあて鉛筆でこすって凹凸を転写する技法で、物質に触発された意識下のイメージを表わす)やデカルコマニー(紙に絵の具を塗り、二つ折りにするか、別の紙を押しつけてはがす時に生じる偶然の形態の効果に注目した技法)の方法により実験的な制作を行なうのはこの頃である。エルンストの描く空想の世界は、フロッタージュやデカルコマニーの方法が用いられていることもあって、不思議な現実感を観る者に与えるが、そうした絵画の精神的背景には、彼が敬愛したドイツ・ロマン派やギュスターヴ・モローの影響も窺えよう。1938年にシュルレアリスムのグループを去り、1941-49年は第二次世界大戦の戦禍を避けてアメリカに渡る。1954年に、ヴェネツィアのビエンナーレで大賞を受賞した。
(出典:国立西洋美術館名作選. 東京, 国立西洋美術館, 2006., pp. 158-9)
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