更新日 2020.11.26 | 26 November 2020
現在は展示していません

現在は展示していません。
Alexandre Gabriel Decamps
1803 - 1860
律法学者に囲まれたキリスト Christ among the Scribes
制作年 | 1833年頃 |
---|---|
材質・技法・形状 | 水彩、グアッシュ、紙 |
寸法(cm) | 38.0 x 48.3 |
署名・年記 | 中央下に署名: DECAMPS |
Standard ref. | Dewey 131B |
分類 | 素描 |
所蔵番号 | D.2005-0001 |
アレクサンドル・ドゥカン(パリ 1803-フォンテーヌブロー 1860年)は北アフリカやトルコなどを旅し、東方の風俗や風景を題材とした作品で19世紀フランスで広い人気を誇った。初期の重要なオリエンタリストの1人である。1855年のパリの万国博覧会では、巨匠アングル、ドラクロワとともに特別室を与えられて個展を開き、そろって最高賞を授与されるという栄誉を受けた。30代に入ろうとしていたドゥカンが初めて宗教主題に取り組んだのがこの作品である。(1) イエスが12歳のとき、過ぎ越しの祭りのため親族たちとエルサレムの神殿に行くが、マリアとヨセフはイエスがいないのに気づかず帰途についてしまう。1日経ってからその不在に気が付いた2人は引き返し、3日後、神殿の境内でユダヤ教の律法学者たちと論じ合う息子の姿を見つける。咎める両親にイエスは、「どうしてわたしを捜したのですか。わたしが自分の父の家にいるのは当然ということを、知らなかったのですか」と答えた。ルカの福音書に記された神の子イエスのエピソードである。本作品では1人残されたことなどお構いなく、少年イエスが学者たちと対等にわたりあう場面が描かれている。さまざまなターバンを頭に巻いた周囲の学者たちの肌の色は濃淡はあるが褐色に近く、イエスの白い肌を際立たせている。画面の左片隅にもう1人白い肌が目立つ女性がいるが、しばしば聖母が身につける赤と青の服をまとい、前へ踏み出そうとしていることからマリアだろう。伝統的な聖書の主題にこの画家らしい風俗画的な逸話性をもたせつつ、登場人物に東方風の衣装を着せて異国情緒を加味している。ドゥカンはその後、東方趣味を取り入れた宗教主題の作品を次々と手がけていく。なお本作品は1870年代初頭、パリで蒐集活動を展開していたイギリス人コレクター、ジョン・W・ウィルソンの所有となり、1873年にブリュッセルで開かれた同コレクションの慈善展覧会に出品される。このとき作られた豪華なコレクション・カタログのなかでモンジャンによってエッチングで複製版画化されている。 (1) Deway F. Mosby, Alexandre-Gabriel Decamps 1803-1860, New York & London, Garland Publishing, Inc., 1977, vol.Ⅰ, p. 108, vol.Ⅱ, p. 654, no. 535, plate 131B.(出典: 開館50周年記念 所蔵水彩・素描──松方コレクションとその後. 東京, 国立西洋美術館, 2010. cat. no. 5、一部文言修正)
来歴
Paul Perier (Sale: Paris, December 19, 1846); Lord Seymour (Sale: February 14, 1860); Arozarena Collection; John Wilson, 1881; Secretan (Sale: Paris, 1889, no. 84); Durand Ruel, New York, 1889; Mrs. H. Havemeyer, New York (Sale: American Art Association / Anderson Galleries, Inc., New York, October 8, W. Parson ZTodd, New York)
展覧会歴
- 2010
- 所蔵水彩・素描展―松方コレクションとその後, 国立西洋美術館 版画素描展示室, 2010年2月23日-2010年5月30日, cat. no. 5
文献歴
- 1977
- Mosby, Dewey F.. Alexandre-Gabriel Decamps, 1803-1860. New York/London, Garland, 1977, vol. 1, p.108; vol. 2, Plate 131B.
- 2007
- 国立西洋美術館年報. No. 40 (Apr. 2005-Mar. 2006), 2007, 新収作品一覧. p. 63.

Currently not on display
Christ among the Scribes
Date | ca. 1833 |
---|---|
Materials and Techniques | watercolour and gouache on paper |
Size(cm) | 38.0 x 48.3 |
Inscriptions | Signed lower center: DECAMPS |
Standard ref. | Dewey 131B |
Category | Drawings |
Collection Number | D.2005-0001 |
Provenance
Paul Perier (Sale: Paris, December 19, 1846); Lord Seymour (Sale: February 14, 1860); Arozarena Collection; John Wilson, 1881; Secretan (Sale: Paris, 1889, no. 84); Durand Ruel, New York, 1889; Mrs. H. Havemeyer, New York (Sale: American Art Association / Anderson Galleries, Inc., New York, October 8, W. Parson ZTodd, New York)
Exhibition History
- 2010
- Modern Drawings from the National Museum of Western Art: Selections from the Matsukata Collection and Post-1959 Acquisitions, National Museum of Western Art, Tokyo, 23 February 2010 - 30 May 2010, cat. no. 5
Bibliography
- 1977
- Mosby, Dewey F.. Alexandre-Gabriel Decamps, 1803-1860. New York/London, Garland, 1977, vol. 1, p.108; vol. 2, Plate 131B.
- 2007
- Annual bulletin of the National Museum of Western Art. No. 40 (Apr. 2005-Mar. 2006), 2007, List of New Acquisitions. p. 63.